川柳と習字を与那国島から

日本史と世界史を題材に最西端の島から!

秋の夜 358 雪舟

 朝、一人で海沿いを走って来ました。台風は過ぎましたが向かい風が強く、途中で雨にも降られました。

「日本史1200人」358 雪舟(1420〜1502)

禅僧。相国寺で周文に絵を学び、大内氏に庇護されて周防国(山口県)へ移る。1467年に遣明船で明へ渡り絵を学んだ。中国大陸の自然は雪舟に深く影響し、「風景こそ最大の師」と悟り、貪欲に各地の風景を写生した。帰国後は山口の雲谷庵を拠点として全国を旅し、日本の水墨画を確立させた。幼い日の雪舟が、絵ばかり好んで経を読もうとしないので、仏堂の柱にしばりつけたが、落ちた涙で描いた鼠の見事さに、絵を描くことを許したという、伝説は有名である。

「僕も見た涙の鼠秋の夜の 雪舟 に 端遊」

秋の夜が9月の季語です。絵本で雪舟さんを見たのは、静かな秋の夜だったような・・・雪舟の作品のうち「天橋立図」「秋冬山水画」「四季山水図巻」「破墨山水図」「慧可断臂図」「山水図」の6点が国宝に指定されており、日本の絵画史において別格の高評価を受けています。

習字は、「僕も見た」は幼く、「涙の鼠」は柔らかく、「秋の夜の」はサラリと、というつもりで書きました。


f:id:tanyuu4792:20220914104425j:image

夜なべ 357 周文

 朝、島は暴風域を抜けましたが、まだ風が強いので部屋でバイクを漕ぎました。それから、クーラー室外機・防風戸・ガラス窓に水をかけて、戸を開けて部屋を明るくしました。

「日本史1200人」357 周文

相国寺・画僧。相国寺の庶務・会計として財政を担当するとともに、画家として俸禄を貰い足利将軍家の御用を務めた。1423年、大蔵経を招来するための朝鮮派遣使節に参加し、その地で山水画を描いたりしている。周文様式と呼ばれた画風は、実景の写生ではなく、記憶の中の景観や宋元画など先行作品の諸要素を抽出し再構成した、絵から絵を作ったものである。そのためリアリティーは無いが、中国画を元にしながらどの中国画にも似ておらず、安定したスタイルを確立している。

「有るような無いような絵を夜なべする 周文 に 端遊」

夜なべが9月の季語です。夜のもう一仕事です・・・周文は達磨寺の達磨大師座像に彩色を施し、雲居寺の仏像の像容の参考とするため奈良東大寺に赴くなど、広い範囲の事績が知られます。優秀な弟子を育て、室町時代水墨画の確立に大きく貢献しました。

習字は、「有るような無いような」は詰めて曲線と直線で、「絵を」は浮いたように、「夜なべする」はとぼけて、というつもりで書きました。


f:id:tanyuu4792:20220913100028j:image

瓢箪 356 如拙

島は台風の暴風域に入っています。朝は部屋でバイクを漕ぎました。久しぶりの暴風域ですが、少しずれているので被害はなさそうです。防風戸で家の中は暗いですが、それなり楽しく過ごしてます。

「日本史1200人」356 如拙

相国寺・画僧。伝記には不明な点が多いが、室町幕府4代将軍・足利義持の命により「瓢鮎図(ひょうねんず)」を描いたこと、夢窓疎石の碑銘を刻む石を探すために義持の命で四国に出向いたことなどが知られる。代表作の「瓢鮎図」(国宝、京都・退蔵院)は「円くすべすべした瓢箪(ひょうたん)でぬるぬるした鮎(なまず)をおさえるには如何(いかん)」という禅の公案を図示したものである。余白を大きくとった構図法や減筆の手法など、宋の院体画に学んだことが明らかで、以後のわが国の水墨画の進むべき道を決定づけた作品である。

「瓢箪のお酒でころりナマズ殿 如拙 に 端遊」

瓢箪が9月の季語です。昔は乾燥させて酒を入れる器にしました。「瓢鮎図」は不可能なことを意味する絵のようですが・・・如拙相国寺の画僧・雪舟に師と仰がれ、狩野派長谷川等伯などに、日本における漢画の祖と評価されました。

習字は、「瓢箪の」は大胆に、「お酒でころり」はとぼけて、「ナマズ殿」はきどって、というつもりで書きました。


f:id:tanyuu4792:20220912090340j:image

鯊(ハゼ) 355 明兆

 昨日、四日目のロングランをしたら、さすがに足がバテたので、今日はウォーキングで最西端の灯台に行って来ました。帰ってシャワーを浴びて体重を測ったら54.3kgと先週より0.5kg増えていました。

「日本史1200人」355 明兆(吉山明兆;1352〜1431)

東福寺・画僧。禅僧の地位より絵を選び、足利義持にも絵を好まれ、寺院専属の画家として名を上げた。作風は、北宋の李竜眠や元代の仏画を下敷きにしつつ、輪郭線の形態の面白さを強調し、東福寺系以外の寺院からも注文が来るようになり、室町時代仏画の大きな流れとなってゆく。生涯、殿主(仏殿の管理)の地位にあったことから、兆殿主と称された。代表作は「五百羅漢図」。

「鯊(ハゼ)に聞く悟りの顔のイロハニホ 明兆 に 端遊」

鯊(ハゼ)が9月の季語です。頭と口の大きい魚で、とぼけた顔は悟ってもいるようです・・・東福寺には、「聖一国師像」や「四十祖像」「寒山拾得図」「十六羅漢図」「大涅槃図」など、多くの著名作品があります。

習字は、「鯊に聞く」はサラリと、「悟りの顔の」は強弱をつけて、「イロハニホ」は何となく、というつもりで書きました。


f:id:tanyuu4792:20220909110830j:image

夜食 354 狩野元信

 朝、ロングラン四日目なので普通は休むのですが、誕生日なので走って来ました。すごく素敵な走りになりました。今日は嫁さんが昼にカレーを作ってくれるようです。

「日本史1200人」354 狩野元信(1476〜1559)

絵師・狩野正信の子。幕府の御用絵師を務め、漢画に大和絵の技法を取り入れ狩野派の画風を大成した。我が国の書院造建築の装飾にふさわしい日本的な障壁画様式を確立した点に特色がある。当時の絵師は中国画人の作風で描くことを求められたが、日本にある彼らの作品は小品が多く障壁画や屏風絵のような大画面の構成に不向きであった。そこで元信は、真・行・草の3種類の画体を確立、これを弟子たちに学ばせて、幅広い注文主の要求に応えた。多種多様な絵を大量制作できるこの方法は、後の狩野派の制作体制を決定づける事になる。代表作に、京都大徳寺の「大仙院花鳥図」などがある。

「夜食食べ花鳥図さらり客ころり 狩野元信 に 端遊」

夜食が9月の季語です。大量生産でも客はころりかな・・・元信は権力者の需要に応える一方で、町衆には絵付けした扇を積極的に販売し、当時の扇座の中心人物でもありました。元信は時の有力者より庇護を受けつつ、戦国の乱世を生き抜いたしたたかな絵師です。

習字は、「夜食食べ」はサラリと、「花鳥図さらり」は大胆にフワリと、「客ころり」は幼く、というつもりで書きました。


f:id:tanyuu4792:20220908114503j:image

蘭 353 狩野正信

 朝、雨が降りそうでしたが、一人で海沿いを走って来ました。早すぎないように、遅すぎないように考えながら走りました。15年以上走ってるコースなのに相変わらず考えながら走っています。

「日本史1200人」353 狩野正信(1434〜1530)

絵師、狩野派の祖。室町幕府に御用絵師として仕え、足利義政の東山山荘の障壁画や、日野富子肖像画など多種多様な絵を描いた。現存する作品中では、中国の故事を題材にした「周茂叔愛蓮図」(シュウモシュクアイレンズ)が、それまでの室町水墨画と異なり、画面上半分に余白を大きく取り、近景の柳の大木の緑が印象的な平明な画面で、正信自身のみならず後の狩野派の進むべき方向をも決定づけた代表作と見なされている。

「蘭の香を余白に放つ画を放つ 狩野正信 に 端遊」

蘭が9月の季語です。「画を放つ」は「絵画の潮流」に放つとイメージしました・・・狩野派は、室町時代から明治に至るまで400年にわたって命脈を保ち、常に日本の絵画界の中心にあった画派でした。この狩野派の初代とされるのが正信です。

習字は、「蘭の香を」はサラリと、「余白に放つ」はフワリと、「画を放つ」は強く、というつもりで書きました。


f:id:tanyuu4792:20220907093834j:image

曼珠沙華 352 土佐光信

 昨日は、いつもの日課の他に、草取り・本の借用・敬老祝い金申込み・銀行振込そしてパン作りとてんこ盛りでした。で、今日はなかなか起きられませんでしたが、一人で海沿いを走って来ました。

「日本史1200人」352 土佐光信

大和絵師。室町から戦国時代にかけて活躍した。宮廷の絵所預を務め、土佐派の地位を確立した。公家や武家、寺社のため多くの作品を描き、大和絵の題材・技法・様式を拡大した。特に絵巻物が巧みで伝統的な絵巻の他に、当時「小絵」と呼ばれた小型絵巻を描いた。また、肖像画も評価されていた。

「無いことを有るかの如く曼珠沙華 土佐光信 に 端遊」

曼珠沙華(マンジュシャゲ)が9月の季語です。彼岸花です。サンスクリット語で天界に咲く花という意味です。光信がよく描いた縁起絵巻に似合いそうなので使いました・・・光信は連歌を好み、心敬や宗祇など当時を代表する連歌師と一緒に句を詠み、また、源氏物語の学習に努めました。こうした貴顕との交流や教養が、パトロンを得る手がかりになると共に、光信の絵に画趣を与えたと考えられます。

習字は、「無いことを」はサラリと、「有るかの如く」は少し強く、「曼珠沙華」はフワリと、というつもりで書きました。


f:id:tanyuu4792:20220906112343j:image