川柳と習字を与那国島から

日本史と世界史を題材に最西端の島から!

穴惑い 85 ティベリウス

 月・火とロングランしたので、今日はお休みです。壊れた電子レンジをゴミ置き場に置いておいたら、無料で引き取ってくれました。亜熱帯のこの島でも、レンジが無いのはすごく不便です。注文した品が届くの月末以降とのことです。

「世界史1200人」85 ティベリウス(前42〜後37)

アウグストゥスの養子で、アグリッパの下で軍を支えた後に、第2代皇帝となる。金融危機対策や辺境防衛網の確立など優れた行政手腕を発揮した。人材登用にも卓越した手腕を発揮し、身分出身地の分け隔てなく能力に応じて適材適所で登用した。そして能力さえあれば栄達の道が開かれるという空気は人的資源に大きな活力を生んだ。しかし彼の業績は地味で評価されにくいものであり、再評価されるのは死後1700年以上も経ち、啓蒙主義の時代からである。ティベリウスには身を挺して命を救ってくれた、腹心のセイヤヌスがいたが、その彼がティベリウスの実子を非常に巧妙に暗殺した。これはセイヤヌス一派が粛清されるまで一般に知られることはなかった。粛清は他の元老院議員にまで及び、恐慌状態に陥った議員達は告発合戦での同士討ちにまでなる。このようにして晩年は、嫁や側近に裏切られたこともあり疑心暗鬼を強め、恐怖政治に繋がっていく。

「腹心に妻に背かれ穴惑い ティベリウス に 端遊」

穴惑い(アナマドイ)が9月の季語です。蛇が冬眠のための穴に入り損なった様子をいいます。良いことをしたのに機を逃したティベリウスに掛けました。ティベリウスは後継者のカリグラを選んだ後、77歳にて病没しますが、人々は吉報と思いながらも真実かどうか気がかりであるため(もし誤報ティベリウスが生きていれば、彼は確実に喜んだ人間を許さないため)、確認がされるまで心底からは喜べなかったそうです。

習字は、「腹心に」はサラリと、「妻に背かれ」はその感じに、「穴惑い」はデザイン的に、というつもりで書きました。


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