川柳と習字を与那国島から

日本史と世界史を題材に最西端の島から!

目貼り 123 イザヤ

 朝、一人で海沿いをロングランして来ました。お酒の疲れが出るか心配でしたが、気にせず走ることが出来ました。

「世界史1200人」123 イザヤ(前740頃)

紀元前8世紀の後半40年余りにわたって、エルサレムで活動した旧約時代最大の預言者の一人。当時、アッシリア帝国が非常に勢力を伸ばしていて、イザヤが活動していた南ユダ王国の隣にあった北イスラエル王国が滅ぼされそうになっていた。その時イザヤは、南ユダ王国の王に、神だけを信頼して、中立を保つよう助言した。けれど王は、アッシリアに貢ぎ物を贈り、属国になることで生き延びた。さらに、その王が死んで、その息子が後を継いだが、この王も中立であることを望まず、エジプトと手を結んでアッシリアに反旗を翻した。その結果は悲惨な敗戦で、南ユダ王国のほとんどの町は征服されてしまった。こうして現実に絶望したイザヤは、メシヤ論を展開することになる。イザヤ書2章4節「主は国々の争いを裁き、多くの民を戒められる。彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」は特にキリスト教徒にとってシンボル的聖句とされ、ニューヨークにある国連本部前の広場の壁にその英訳が刻まれている。

「絶望に理想の目貼り地獄呼ぶ イザヤ に 端遊」

目貼りが11月の季語です。本来は寒風を防ぐために紙などで隙間を防ぐことです。現実の絶望を防ぐために、イザヤは理想の目貼りをしたけど・・・という句です。イザヤ書は、全ての人が一つの神を信じること、一つの思想で覆われることで世界が平和になると考えています。それは、思想や信仰の多様性を認めないという立場でもあり、平和を志向していながら争いの種を蒔くことにもなります。この思想の後継に、キリスト教があるとも考えられます。

習字は、「絶望に」は弱々しく、「理想の目貼り」はそれらしく、「地獄呼ぶ」はグネグネと、というつもりで書きました。


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